現在サプリメントの利用は、大人だけではなく子供にも増えてきています。米国ではなんと30~50%の子供が利用しているという報告があるほどです。
好き嫌いが多かったり、また仕事や塾などで家族にすれ違いがあり、「食事は子供にお金を持たせるだけ」の日もあったりする場合、栄養面をサポートするためにサプリメントを利用する人が多いようです。

しかし、やはり成長に必要な栄養は食事から摂った方が良いということは明白。この記事では、サプリメント利用に関する正しい知識や、子供への正しい使用について詳しくご紹介します。

まずは知ることから!サプリメントを正しく理解しよう

サプリメントにはいろいろな種類があります。「薬」と同じ感覚で考えている方もいる一方、お菓子のように食べることができるものやドリンクタイプのものなど、その種類はさまざまです。

自身はもちろん、子供に使用する前に、まずはサプリメントの正しい知識を持ちましょう。

サプリメントは「薬」の仲間?

日本語には「サプリメント」という言葉に対する定義がないため、思い浮かべるイメージは人によって異なります。主に健康に良いとされている「食品」の中でも、カプセルや錠剤、または粉末等の形態のものがサプリメントと呼ばれています。

中には「サプリメント=薬」(または薬に近いもの)とイメージする方もいるかもしれません。確かにパッケージには、なんらかの条件が伴う場合は医師に相談して使用するように記載していることもあります。
「医薬品」や「医薬部外品」と表示があるものは「薬」に分類されますが、サプリメントは厳密な規格や基準、審査などは受けておらず、効能や効果を宣伝することも原則として禁止されています。そのため、薬ではなく「食品」として考える必要があるのです。

サプリメントは「保健機能食品」と、いわゆる「健康食品」に分類されます。保健機能食品は国で認められた製品ですが、健康食品はその効果について、根拠が乏しいものが多くを占めているのが現状です。

また「栄養機能食品」というものも保健機能食品の中の一つとして存在しています。これは、有効性や安全性への根拠が確立している「ビタミン」と「ミネラル17種」のいずれかについて、国の基準を満たしている食品です。
同様に、保健機能食品の中に「特定保健用食品(トクホ)」と呼ばれているものがあります。有効性や安全性がヒトで試験されている食品で、個別で許可・承認されているため、信頼性が高い食品です。

まとめると、

  • サプリメントは薬ではなく食品である
  • 「保健機能食品」と「健康食品」に分類される
  • 「保健機能食品」はさらに「栄養機能食品」と「特定保健用食品(トクホ)」に分類されている
  • ということになります。

    サプリメントの基本的な使用方法とは?

    前項で述べたようにサプリメントは「薬」ではないため、病気の治療や治癒目的に利用するものではありません。病気の場合にはサプリメントに過度な期待はせず、医療機関を受診し、適切な処置を受けましょう。

    サプリメントには、特定の成分を抽出して濃縮したものや、あまり馴染みがない動植物を原料として使用していることがあります。一般的な食生活では接することがない素材が多いため、一般の食品よりもアレルギー等の安全性については慎重に構える必要があるでしょう。

    サプリメントを利用する場合には「何を」「どれくらい」摂取したのかをメモしておくのがおすすめです。万が一、体に異常を感じた際にはすぐに使用を中止し医療機関や保健所に連絡することが推奨されていますが、その際にメモがあるとより早く診断・対処できる可能性があります。

    また大切なポイントとして、サプリメントは健全な食生活を前提とした上で、補助として利用するものであるということは念頭に置いておきましょう。「食生活は乱れているがサプリメントを飲んでいるから大丈夫」と安心できるものではありません。

    そして、高額なサプリメントだから絶大な効果があるとは限らず、同時に安全であるとも限りません。類似するサプリメントと比較し、適正な価格かどうか判断することも重要です。

    また、「天然」や「自然」といった文言が付いたサプリメントは安全で、合成物は体に悪いといったイメージが付きがちですが、天然や自然のものには副産物として有害物質が含まれているおそれもゼロではありません。詳細な成分が不明ということもあるため、イメージばかりで選ばないようにしましょう。

    サプリメントを使用する子供が増えている!?


    ドラッグストアやインターネットで気軽に購入できるサプリメント。子供に積極的に与えている大人も多くいます。最近では、子供用のサプリメントも多く目にするのではないでしょうか。

    ここでは、子供用のサプリメントとはどんなものなのか、またどれくらいの人が使用しているものなのか見ていきましょう。

    「子供用」のサプリメントも登場!どんなもの?

    近年「子供でも利用できる」と表記されているサプリメントも多く見かけるようになりました。主にインターネットの販売サイトで購入する方が多く、その種類も数百種類に及びます。

    しかし「子供用サプリメント」として販売されているほとんどの製品が「保健機能食品」ではないため、国が安全性や有効性を科学的に評価しているものではありません。
    つまり、本当に安全であるのか、子供の発育にとって必要であり有効なものなのか、科学的な根拠があるのか……などの確認はされていないということなのです。

    どれくらいの子供がサプリメントを使用している?

    帝京大学の斎藤教授は、小児外来に来院した子供の保護者に対してアンケート調査を行い、サプリメントや健康食品の使用状況を調査しました。

    これによると、患者(子供)1198名中131名(10.9%)が、サプリメント・健康食品を使用していたことが明らかになっています。男女比は男75名、女56名で、年齢は0才児から使用しており、3~4歳が14名と最も多く回答していました。

    子供に使用したサプリメント・健康食品の内容としては「ビタミン類」が60名と圧倒的に多く、内訳は「ビタミン(種類不明)」が19名、「肝油」が13名、「ビタミンC」が12名となっています。次いで「ミネラル類」38名(カルシウム19名、鉄11名など)、「植物成分」23名と続きます。

    種類の数では、「1種類」が101名と最も多く、次いで2種類21名、3種類3名、4種類1名、不明5名となりました。

    使用目的としては、「健康に良い」と答えたのが38名と多く、次いで「栄養補給」が19名、「成長に必要」14名、「ビタミンの補給」が13名となりました。

    この調査では、ポカリスエットや鉄入りウエハース・ビスケットなどといった健康食品も含まれてはいますが、それらを入れたとしても10%近い子供が健康や栄養補給などを目的として、サプリメントや健康食品を摂取していることが明らかになったのです。

    子供にサプリメントは本当に必要?安全性は?効果は?


    そもそも子供にとって、食事以外で栄養素を摂取する必要はあるのでしょうか?

    「現代の子供は多くのストレスに晒されている」「今の野菜は栄養が少ない」といった宣伝でサプリメントの必要性が強調されていますが、実際にはイメージ先行で、その根拠は乏しいと思われるものばかりです。

    国が行っている栄養調査でも、現在の子供たちに早急な対策が必要となるレベルの栄養不足は報告されておらず、毎日3食と適切な間食をしっかり食べていれば、ほとんどの子供には特別なサプリメントは必要ないのです。

    逆に、安易にサプリメントに頼る生活をすることで、将来子供が健全な食生活を送るときの障害になるおそれもあります。サプリメントは特定成分を容易に大量摂取することができるため、偏った栄養素を過剰に摂取することで有害な作用が出てしまうことがあるのです。
    特に子供の場合には、身体が小さいため影響を受けやすいといえるでしょう。

    また、子供で安全性を評価したサプリメントはほとんどないのが現状です。そのため、大人と同じような考えで利用するのは間違っているともいえます。
    同様に、サプリメントの有効性に関しても成人や中高年で得られた情報が大部分であり、子供で得られたものは極めて少なくなっています。ビタミンやミネラル等の欠乏症に対する効果は根拠が明確にされていますが、それ以外ははっきりしないのがほとんどなのです。

    効能があるのかどうかだけに止まらず、「ハーブサプリメント」による小児における健康被害が報告されているのは知っておきたい事実です。
    「身体に良さそうだから」「栄養はたくさん摂った方が良いだろうから」と安易に考え、むやみにサプリメントを摂取させるのはおすすめできません。

    子供に「不要なサプリ」「勧めたいサプリ」は?

    子供向けに多くのサプリメントが販売されていますが、食事にそれらをプラスさせることは、子供にとって本当に必要なのでしょうか?

    ここでは、子供向けに販売されているサプリメントの主な栄養素について解説していきます。多くの研究者によって科学的に根拠が発表されている栄養素もありますので、参考にしてください。

    「ビタミンD」のサプリメントは不必要!?”D”は外遊びで育成できる!

    「ビタミンD欠乏症」の子供が増加していることもあり、子供向けにビタミンD入りのサプリメントが数多く販売されています。

    大阪大学の大園教授らの研究で、2016年までの3年間、ビタミンD欠乏症の患者数を全国調査し458の病院から回答を得たところ、把握されたビタミンD欠乏症の患者数は250名でした。これは小児人口10万人あたり、年間発症率1.13人に当たります。

    さて「ビタミンDが欠乏しているのであれば、ビタミンDのサプリメントを摂取したら良いのではないか」と思われる方も多いでしょう。しかし、ビタミンDは紫外線が直接皮膚に当たることで生成されるものであるため、「ビタミンDのサプリメントは不要」とされています。

    これを鑑みると、近年ビタミンD欠乏症の子供が増加しているのは食事のせいだけでなく、過剰な紫外線対策による日照不足や外遊びの減少などが背景として挙げられるのです。

    このように、そもそもの原因や体内でのビタミンD生成に関する知識を考慮せず、単純に「ビタミンD欠乏症が多い」というワードから「ビタミンDのサプリメント」というように安易につなげることは間違いと言えるのではないでしょうか。

    しっかりと根拠を把握してから、サプリメントを摂取するかしないかを決める必要があるでしょう。

    背を伸ばしてあげたい子には、どんな栄養素が必要?

    「背を伸ばす効果が期待できる」として宣伝されているサプリメントが販売されているのをご存知でしょうか。
    その種類には、
    1.カルシウム、鉄、ビタミンDを含んだサプリメント
    2.成長ホルモンの分泌促進する物質を含むサプリメント
    3.成長ホルモン含有スプレー
    などが挙げられます。

    特に多いのが「2.」に含まれる「アルギニン」を含有したサプリメントです。
    アルギニンは成長ホルモン分泌刺激試験の薬としても使われていますが、体重1kg当たり15gを点滴で投与するのに対し、サプリメントでは200mg~2gの錠剤を内服薬として摂取します。
    ちなみに、アルギニンをサプリメントとして投与した場合に、成長ホルモンの分泌が促進されたという学問的なデータは報告されていません。

    サプリメントに過大な効果を期待するよりも、サプリメントはあくまで補助食品として使用するにとどめ、普段の食生活に「身長が伸びますように!」の想いを込めて、献立を考えてあげましょう!

    骨や筋肉を成長させるには、十分な栄養素が必要となります。特に骨を作るカルシウムやマグネシウム、ビタミンD、亜鉛、タンパク質の5種類の栄養素を意識したメニューを取り入れると良いでしょう。

    カルシウムは、牛乳などの乳製品や海藻、葉野菜、大豆製品などに。マグネシウムは、豆や油揚げなど。ビタミンDは、しらすや鮭、さんまなど、そして亜鉛は牡蠣や豚肉、牛肉、チーズなど、またタンパク質は魚や肉、豆製品などに含まれます。
    ちなみに、マグネシウムと亜鉛を多く含むココアを、牛乳や豆乳と一緒に飲むことで、3~4種類の栄養素がまかなうことができます。間食などにはおすすめです。

    記憶力の向上・アレルギーの予防にも!?DHA、EPAのサプリ

    Every DHA推進委員会は、国公立大学へ通った母親へ、DHAやEPAの認知度調査を行いました。
    この調査では、対象者の44.7%が「受験や試験などの大切な時期にDHAを摂らせたい」と回答し、実際に受験期に意識して「魚」を食べさせていた母親が46.6%にのぼったという結果となっています。目的としては「脳の働きの活性化」や「記憶力の向上」という回答が上位でした。

    実際に、DHAやEPAを投与したことで改善効果が認められた結果は数多く報告されており、発達障害を持つ集団についての研究なども盛んに行われています。

    また同様に、アレルギー疾患の予防改善に役立つことも報告されています。例えば、アトピー性皮膚炎に対する影響を調査した際、DHA含有魚油を摂取したところ、治験終了後に「有用」とされた回答は53.8%、「やや有用」以上は84.6%という臨床結果が出ました。

    しかし、DHAを摂取したからといってすぐに脳に対する効果が現れるわけではなく、学習や行動への改善効果が発揮されるのに3ヶ月、安定的に効果が得られるまでは6ヶ月以上の継続した摂取が必要であることが報告されています。
    即効性はないため、早いうちから継続的に摂取することを心がけると良いでしょう。

    また、DHAやEPAは体内で合成されないため、食事などから摂取する必要があります。油の多い青魚(サンマ、イワシ、サバなど)を積極的に取り入れて、効果的に摂取していきましょう。

    一度立ち止まって!子供にサプリメントを使用する際に考えたいポイント


    小さな子供の身体は大人よりもサプリメントによる影響を受けやすいため、使用する場合には注意が必要です。

    まずは毎日の食事にいろいろな食材を取り入れ、バランスの良い食生活をすることを心がけてみましょう。本当にサプリメントが必要であるか、普段の食生活をチェックして判断することが必要です。

    ライフスタイルの関係でどうしてもサプリメントによって栄養素を補いたいと考える場合は、以下の5点をチェックすることをおすすめします。
    1.どの栄養素が足りていないか「食事バランスガイド」を参考に確認
    ※農林水産省の食事バランスはこちら
    https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/kakudaizu.html
    2.「特定保健用食品」および「栄養機能食品」かどうか
    3.「製造者や販売者」「原材料名」「栄養成分」「適切な利用方法」「連絡先」の表示がある製品を選ぶ
    4.「体験談」「専門家推奨」「最新科学」という言葉よりも、科学的根拠があるか確認
    5.販売者の確認(個人輸入やインターネットオークションは要注意)

    大切な子供の身体に入るものなので、以上の点をしっかりとチェックしましょう。

    まとめ

    このごろ、子供用サプリメントを頻繁に目にすることもあり、子供に摂らせたほうが良いのではないかと気になるご両親も多いかと思います。実際に効果が見られる栄養素もありますので、製品を選ぶ場合にはしっかりと認証や根拠がある製品かどうか見極めることが大切です。

    そして、毎日の食生活できちんとバランスよく食材を食べることは、もっとも重要なことです。「食に対する価値観」の健やかな育成のためにも、サプリメントに過剰に頼ることのないようにしましょう。

    ________________________________________

    【参考・引用・関連リンク】
    ※サプリメーカーの社長さんがサプリメントの原料や製造のこと、良いサプリの見分け方など、栄養療法を行うドクター・医療機関に信頼される誠実なサプリメーカーだからこそ正直に、サプリの正体を一般の方にもわかるようにまとめてくれています。
    「サプリメントの正体」田村 忠司 (著) 

    斎藤百枝美(2010)帝京大学病院小児科外来における小児患者のサプリメント・健康食品の使用状況, 医薬品情報学 Vo.11, No.3, 156~162
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjdi/11/3/11_3_156/_pdf/-char/en

    サプリメントと子どもの食事 (独)国立健康・栄養研究所 情報センター 健康食品情報プロジェクト

    クリックしてkodomosapuri.pdfにアクセス

    大薗 惠一(2016) 小児ビタミンD欠乏症の実態把握と発症率の推定に関する研究
    https://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD00.do?resrchNum=201606012A
    日本小児内分泌学会
    「身長を伸ばす効果がある」と宣伝されているサプリメント等に関する学会の見解(2013年3月29日公表)
    http://jspe.umin.jp/medical/kenkai.html

    魚食とDHA・EPA 東京水産振興会 第585号(第50巻 第9号)
    宮城大学 西川正純教授

    クリックしてSuisanShinkou_585.pdfにアクセス

    LINEで送る