人工甘味料『アスパルテーム』の影

甘さに対する欲求はなかなか手強い。

今の時代、すぐに手を伸ばせば甘いものが手に入ってしまいます。
肥満の原因にもなるので、できれば砂糖不使用で甘みのあるものがほしいと考えてしまうものです。

近年では人工甘味料がずいぶんと普及し、砂糖の代替甘味料として広く様々な食品に使用されています。人工甘味料は化学合成によって人工的に作られるもので、食品衛生法に基づいて、厚生労働省が指定添加物に定めています。

そんな人工甘味料の中でも、最も疑惑の多い人工甘味料が『アスパルテーム』です。
よほど食品表示等を気にしていない限り、普段耳にすることがない名前です。

1965年にアメリカの製薬会社(G・D・サール社)が、胃潰瘍の薬の開発途中で偶然発見しました。
そのあと日本の企業「味の素」が大量生産の技術を開発し、アメリカ食品医薬品局(FDA)で段階的に認可を得て、1996年にはすべての加工食品への使用が認められています。(※この認可プロセスにも疑惑があるとの指摘があります。)
日本でも1983年に食品添加物として指定されました。

 

アスパルテームは砂糖に比べ約160~200倍もの甘みがあり、少量でも十分な甘みが得られるため、
コスト削減の観点からも、砂糖の代替品として利用されています。また近年の低カロリー志向から
カロリーゼロやカロリーオフを謳ったダイエット飲料に多く使われており、世界中で年々使用量が増えています。

ただしその影では、様々な健康被害に対する疑念が湧き起っています。
その症状は多岐にわたり、頭痛、発作、めまい、吐き気、体重増加、抑うつ、睡眠障害、記憶障害、視力低下などなど、アメリカ食品医薬品局(FDA)には何千件という苦情が寄せられていると言います。

 

何が危険なのか?

アスパルテームの危険性の中で最も指摘されているのが、
アスパルテームが体内で代謝分解されるときにできる物質についてです。

代謝物として
・フェニルアラニン(50%)
・アスパラギン酸(40%)
・メタノール(10%)
に分解されます。

 

まず“フェニルアラニン”については、先天的な代謝異常疾患である『フェニルケトン尿症』という病気があります。
これは生まれつきフェニルアラニンというアミノ酸を代謝する酵素の働きが弱く、体内にフェニルアラニンが蓄積されてしまう病気です。
血中のフェニルアラニン値が高い状態が続くと精神発達の遅延や、運動発達の遅延が生じる難病です。
患者数は約8万人に1人という割合ですが、厳格な食事療法が必要であり、アスパルテームの代謝物の約50%がフェニルアラニンであることから、注意しないと知らず知らずのうちに摂取量が多くなってしまいます。

 

その為、表示には注意喚起として「L-フェニルアラニン化合物」という記載が義務づけられています。

ダイエットコーラの成分表示

ダイエットコーラの成分表示

(※日本では、フェニルケトン尿症などの新生児先天性代謝異常症の検査が1977年(昭和52年)から実施されており、現在では新生児のほぼ100%がこの検査を受けています。)
エモリー大学ルイス・エルザス博士の報告によると、脳内のフェニルアラニン濃度が過剰になると、生体リズムや睡眠、神経内分泌などに関与するセロトニンの濃度が低下すると指摘しています。
セロトニン濃度が低くなると、うつ病や気分障害、慢性疲労症候群や不眠症といった症状が表れます。

 

また多動性のある子供の血小板では、平均的な子供よりもセロトニン濃度が著しく低いとの報告(メアリー・コールマン医学博士)もあり、子供が常用的にアスパルテームを含む食品・飲料を摂取することは望ましいことではないようです。

 

 
次に興奮性アミノ酸とも呼ばれる“アスパラギン酸”は、脳の神経細胞に悪影響を与え知能が低下するという報告があります。
ミシシッピ大学の元神経外科准教授ラッセル・L・ブレイロック(Russell L. Blaylock)は著書『Excitotoxins: The Taste That Kills』の中で、過剰なアスパラギン酸の使用で深刻な慢性神経疾患の原因となる数々の文献を紹介しています。

 

また最近では2013年にポーランドの研究者がアスパルテームの危険性を訴える論文を報告しています。
(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23553132)
私たちの神経系を構成しているのは神経細胞とそれをサポートする支持細胞の「グリア細胞」に分けることができます。
グリア細胞はこれまで、あくまで神経細胞への栄養補給等の脇役と考えられていましたが、近年では神経細胞ニューロンの接合部にあたるシナプスの形成に、重要な役割を担っていることが分かってきました。
アスパルテームの代謝物が過剰になれば、このグリア細胞に悪影響を及ぼし知能低下にいたると懸念されています。

 
フェニルアラニンもアスパラギン酸も自然界に存在するアミノ酸で、身体にとって必要なアミノ酸であるから安全だという主張もあります。
しかし人工甘味料の成分となっているものは、天然抽出物ではなく化学合成で作られたものであって、全く同じものであると言うことにはなりませんし、おそらく問題の本質はその“量”にあるのだと感じます。また製造過程でどのような処理がなされて、どの程度の不純物が混ざっているかも、一般消費者には判断できるものではないでしょう。

 
天然物は安全で人工物は全て危険というような単純な考えに陥るもの問題ですが、
やはり相対的なリスクを考えると化学合成で作られた物質の方が注意が必要だと思えます。

 

メタノールの中毒性

そして最後の代謝物“メタノール”。

メタノールは「毒物及び劇物取締法」において「劇物」に指定されるもので、誤飲や中毒などの事故を防ぐため適切な管理が必要な物質です。
(・・・ちなみに消防法では危険物第4類アルコール類に指定されています。これは引火や爆発の恐れがある為、適切な管理が必要ということです。)

アルコールと間違えてメタノールを誤飲してしまったり、密造酒の製造過程などで中毒となり死亡するケースもあります。
もちろんダイエットソーダを飲んだ場合の摂取量は、はるかに微量ですので、直ちに問題が生じるというわけではありません。

アスパルテームが摂取されると代謝物としてメタノールが発生し、脳や各器官の血管の中で発がん性のあるホルムアルデヒドに変化します。
メタノールを摂取すると網膜で大量にこの毒性の強いホルムアルデヒドが作られてしまうことが分かっており、そのせいで視細胞がやられ、視力低下や失明することがあるとされています。

さらにホルムアルデヒドは「ギ酸」という物質に代謝され、こちらも毒性が強く慢性的に暴露すると肝臓や腎臓といった各臓器に悪影響を及ぼすと言われています。

動物実験でアスパルテームを餌として与えると、投与量に応じて乳がんと腎臓がんが増加するという内容のものもあります。
注意したいのが、動物実験でよく使われるラットやネズミなどの「げっ歯類」は、私たちヒトなどの霊長類よりもメタノールの代謝能力が高いそうです。つまり、ヒトの方がメタノールの毒性を強く受けるということになります。
げっ歯類の動物実験で安全性に問題がないとしても、霊長類のヒトでは問題がある可能性は否定できないでしょう。

 

 
さらに厄介なことに、ホルムアルデヒドが近年増加傾向にある難病の『多発性硬化症』の原因である可能性が指摘されている点です。
多発性硬化症は中枢神経系の疾患で、手足のしびれなどの感覚低下、歩行障害、しゃべりにくさや飲み込みにくさ、視力低下など様々な症状が表れる難病です。

多発性硬化症の患者数は過去30年で約4倍、日本国内で1万人以上と推定されており、特に20代から30代の若い女性に発症するケースが多い病気です。

 

また『スイート・ポイズン』の著者ジャネット・スター・ハル氏は著書の中で、ダイエットソーダのアスパルテームが原因ではないかと気づく前に、当初“ハセドウ病”と診断されたと詳細に状況を記しています。

歌手の絢香さんの報道で有名になった“バセドウ病”ですが、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気で、甲状腺腫大、眼球突出、頻脈などの症状の他に、精神的に不安定になったり、手の震えなどが出る場合もあるとされます。

これは仮説でしかありませんが、
バセドウ病の症状とメタノールの毒性による症状が非常によく似ている為に誤診されるケースがあり、20代から30代の女性に発症するケースが多いことからも、ダイエット飲料の摂取量が男性や他の年代に比べて多いからなのではないか。

バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで様々な悪影響が出る病気ですが、甲状腺ホルモンの大きな役割が、細胞の代謝を上げること・・・
という事は、体内に入ってきた毒性の強いメタノールやその代謝物のホルムアルデヒドを代謝を活発にすることで、体外へ排出しようとする身体の反応ではないか。

そんなことまで考えてしまいます。

 

人工甘味料でもインスリンが「出る?or出ない?」

ダイエットソーダ類を1日1杯以上飲用する習慣を持つ人は、2型糖尿病になるリスクが、そうでない人に比べ優位に高くなるという。

また人工甘味料入り飲料『ASB(artificial sweetened beverage)』の飲用量の増加が肥満のリスクを高めると研究報告されています。
(※http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18535548)

人工甘味料は血糖値の上昇がない為、インスリンの分泌は促さないとする報告もあれば、正反対に人工甘味料でもインスリンが分泌されるという研究報告(ボストン大学 バーバラ・コーキー博士)もあり、意見が分かれています。

人工甘味料だけを原因とするには強引ですが、肥満の増加とともに糖尿病の患者数は世界中で年々増加傾向にあり、2013年現在において世界で3億8200万人と推定されています。
人工甘味料や食品添加物を含む多くの加工食品や飲料類が普及した結果、世界的に食の環境が激変している為と大きくは捉えることができそうです。

 

 

以上見てきたように、様々な被害報告や危険性の警鐘を鳴らす報告がある以上、簡単に無視する気持ちにはなれません。

胎児や子供に対しての影響はまだまだ未知数で、成長過程における影響や、将来成人してからの病気などとの因果関係もはっきりしません。
妊娠中の人工甘味料の摂取には慎重になるように促すものも多く、妊娠中や授乳中の方は、避けておいた方が無難な選択と言えそうです。

ダイエットの為に摂取カロリーを抑えたいという理由だけで、多くの人工甘味料含む飲料などを摂取する事は賢明とは言えない事実が見えてきました。

その他にも現在認可されている人工甘味料に以下のようなものがあります。



・サッカリン(サッカリンナトリウム)
→最も古い人工甘味料。砂糖の200~700倍の甘味。
発がん性等の問題から一時は禁止されたものの再承認。
使用量は減少したものの漬物や子供用歯磨き粉に使われている。

・アセスルファムカリウム(アセスルファムK)
→砂糖の200倍の甘味。ドイツの製薬会社の研究者が発見。熱に強く、水にも溶けやすい為、
清涼飲料水でよく使用されている。他の甘味料と併用する場合も多い。
成分に発がん物質の塩化メチルを含んでおり、頭痛、精神錯乱、肝臓・腎臓への影響など懸念がある。

・スクラロース
→砂糖の600倍の甘味。砂糖に近い甘味があり、清涼飲料水、アイスクリーム、ガム、菓子等によく使用される。
比較的新しい甘味料でヒトでの長期的な研究はまだない。熱に強く焼き菓子等によく使用される。
但し加熱して138度になると塩素系ガスを発生するという指摘もあり。

・ネオテーム
→驚くことに砂糖の7,000~13,000倍の甘味。
開発は、除草剤ラウンドアップと遺伝子組み換え作物で有名なモンサント社。
有害化学物質とされる3,3-ジメチルブチルアルデヒドが加えられている。

興味を持った方は、ぜひ調べてみてください。
また、スーパーで買い物の際は、食品表示を見てみてください。
人工甘味料を含む食品の多さに驚くこと間違いなし!

 

 

完全否定はできない現実

やはりこれだけ人工甘味料が普及するには理由があり、私たち一般消費者もその恩恵を受けているのもまた事実です。

何といっても最大の理由はコスト。
砂糖や天然甘味料(ステビア等)に比べ圧倒的にコストが安い。
メーカーとしても販売価格を安くしたいし、消費者としても安さを求めるので、もはや砂糖に戻すには経済面での無理がありそうです。

さらにメディアでカロリーの取り過ぎがいけないと報じるようになってからというもの、低カロリー志向が一層強くなっています。
肥満の原因はカロリーだけの問題ではないと分かっていても、やはりなんとなく体重が気になると、カロリーオフやカロリーゼロと表示されたものを選んでしまうもの。

その他には、虫歯の原因になりにくい等の利点や、糖尿病患者の血糖値の上昇を抑えるために利用できるなど、表記されているものもあります。

 

アメリカ食品医薬品局(FDA)や厚生労働省で使用が認可されている以上、安全性が確認されているという事になっているわけですが、その根拠となる研究に利益相反の関係(メーカー側の資金援助で研究したものなど)があったりと疑惑があることも指摘されています。

また日本で過去には「ズルチン」や「チクロ」と言った人工甘味料が、中毒事故や発がん性等の問題から1969年に使用が禁止されたように、現在認可されている人工甘味料も、今後どのような影響が出るかは分からないところもあります。
(※→「ズルチン」「チクロ」)

様々な疑念が残る以上、消費者として完全に受け入れるわけにはいきません。
ましてや成長途中の子供や妊娠中においては、なおさら小さな影響であったとしても慎重になるべきでしょう。

softdrink但し、人工甘味料を完全に否定してしまうことは、現代の食生活そのものを否定するくらい、実生活の食品の中に浸透しきってしまっています。
清涼飲料水やアイスクリーム、菓子類にはもちろん、栄養ドリンク、流行のエナジードリンク、発泡酒、第3のビール、チューハイ類、ヨーグルト、ゼリー、パン類、漬物その他様々な加工食品にも使用されています。
さらには専門家でも意見がわかれている化学物質の作用等について、一般消費者は、どこまで追いかけても到底安全性を正確に判断することは不可能です。

 

昨今の医薬品の認可の問題や、企業倫理の荒廃をみると、厚生労働省、消費者庁、食品・飲料メーカーを全面的に信用するという事もまた正しい判断とは言いにくい状態です。
綺麗なパッケージの見た目と、その中の食品が本当に安全なのかどうかは別問題で、まずは少しでも“知る”ことが大切です。
リスクをゼロにすることは現実的ではなく、実際は白と黒の中間の幅広いグレーゾーンの中に私たちは置かれていることを認識する必要があります。

私たちはどうしても簡単で分かり易い答えを求めてしまいがちで、難しいことや分かりにくいことは、避けたいものです。

しかし、自身や子供たちが口にするものが「一体どんなものなのか?」「何が入っているのか?」に注意を向けなければこのような問題は解決に向かいません。

子供たちの食を守っていくためにも、消費者として、企業や行政庁に対しメッセージを発し続けなければ、私たちの知らない所で、次々とこのような出来事が進んでいってしまいます。

 

今後の継続的な研究報告と正しい情報提供を切に願います。




【参考・引用・関連リンク】

『カロリーゼロにだまされるな』 大西睦子(著) ダイヤモンド社

『スイート・ポイズン』 ジャネット・スター・ハル(著) 東洋経済新報社

 

『Fueling the obesity epidemic? Artificially sweetened beverage use and long-term weight gain.』
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18535548

フェニルケトン尿症
http://www.pku-dsc.info/index.html

興奮性アミノ酸と細胞内カルシウム調節
http://www.m.ehime-u.ac.jp/school/orthopedic/research/EAA.htm

アストロサイトのシナプス
https://www.cosmobio.co.jp/aaas_signal/archive/ec_20040608.asp

味の素HP 「パルスイートってどういう商品?」「アスパルテームQ&A」
http://www.ajinomoto.co.jp/question/okyakusama/pal/
http://www.ajinomoto.com/jp/features/amino/aminosan/chikara/calorie_print.html

糖尿病ネットワーク『世界糖尿病デー 世界の糖尿病人口は3億8200万人に増加』
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2013/020997.php

難病情報センター「多発性硬化症」
http://www.nanbyou.or.jp/entry/145

gooヘルスケア 「多発性硬化症」
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10870100.html
「メタノール」について wikpedia

「ギ酸」について wikpedia

(社)日本神経学会「日本人多発性硬化症の臨床研究における最近の進歩」

http://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/049090549.pdf

 

Image courtesy of FreeDigitalPhotos.net

2014年3月24日Permalink