ちょっと思い返してください・・・

昔、子どもだった頃1年間というのはとても長かったように思います。1学期、2学期、3学期と、それぞれの期間にたくさんの出来事があり、一年間を振り返ると、いろんな思い出がありました。

でもいつの頃からか、1年間はあっという間に過ぎて「えっもうこんな時期!?」「年初はいろいろ計画したのに全然達成されてない・・・」なんて感じるようになってしまっています。

実際の1年という時間は、地球の公転と自転により一定のはずなのに、どうして子どもの頃と大人になってからとでは、こんなに感覚が違うのか?やらなければいけないことも増えたし、生活もマンネリ化してくる。確かにそうです。

でもそれだけではないようなのです。
私たちが体の中に持っている体内時計と深く関係しているらしい。

生物は、体内に体内時計というものを持っています。人間の場合、およそ1日の24時間のサイクルを体が知っているわけです。時間の分からない、密室で生活していても、朝の時間帯に目を覚まし、昼ごろには昼食をとり、夜になると眠くなる。個人差はあるにせよ、およそ24時間のサイクルで生活するようになります。

ここからは推測の域を出ませんが、生物学者の福岡伸一先生が面白い指摘をしています。

生物の体はタンパク質でできています。我々はこのタンパク質を分解しては合成し、また分解しては合成し、という事を繰り返して生命を維持しています。見た目にはわからないけれども、私たちの体の細胞という細胞は身体の中で、ものすごい勢いで入れ替わっているのです。体内時計というのは、このタンパク質の新陳代謝の速度と関係性が強いという。つまり私たちは、細胞の新陳代謝によって時間的な感覚を持っていると言えます。

ここからがちょっとややこしいけれど、まずは子どもを見てみましょう。

子どもは、新陳代謝がものすごく盛んで早い。生まれたての赤ちゃんは、半年で体重が3倍近くにもなるし、子どもたちは、1年で身長が驚くほど伸びます。一方大人は、加齢とともに新陳代謝の速度は遅くなる。(若者がテンポの速いロックミュージックを好むのも、細胞の新陳代謝の速度と関係がありそうです。)

ここからが本題。

つまり子どもは実際の1日24時間、1年365日という速さより、感覚的には早く進んでいると思われます。

例えば、子どもの中での感覚では、365日どころか、2年くらい経った感覚を持っているかもしれない。ものすごく時間が経っているように感じているのに、実際には「まだ1年しか経っていない!」という感覚。

片や新陳代謝の速度が遅い大人は、自分の中で感じる感覚では、まだ半年くらいしか経っていないように感じているにもかかわらず、カレンダーを見ると「もう1年もたっているっ!!!」というギャップを感じることになるというわけです。

こんなことを考えると、幼い子どもは「できる」ことがどんどん増えていくのに、大人になったら「できない」ことが増えていく・・・なんて言葉を思い出します。
大人になった今としては、若干さみしい気持ちにもなりますが、これは人生においての生き方を表現しているように思います。

子どもの時期には、たくさん物事にチャレンジし、たくさん経験し、たくさん学べる時間と時間感覚があります。大人になってからは、限られた時間の中で、学びや体験から得たものを整理し、自分の生き方を深めていく。そんな流れになっているように感じます。

ですから、現代の子どもたちには、今のうちにできるだけたくさん可能性を広げる体験をして、学んでほしいと願っています。

〈参考書籍〉
『動的平衡』 福岡伸一 著  出版:木楽社

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