清潔すぎる環境が「皮膚のバリア」を弱めている!? 子どものアトピー、喘息、花粉症への影響

食物アレルギーの思わぬ原因」の回で見てきたように、人間の最大の器官ともいえる「皮膚」がアレルギーに深くかかわっているのは間違いありません。

アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息、食物アレルギーは、すべて皮膚からアレルゲンに触れる経皮感作が、何らかのきっかけになっている可能性があると指摘されています。

皮膚のバリア機能に関する遺伝子

IrwinMclean

IrwinMclean
画像:ダンディー大学mclean-labより

スコットランドのダンディー大学(University of Dundee)のアーウィン・マクリーン氏(W. H. Irwin McLean)は、皮膚のバリア機能に関する遺伝子の解読に成功しました。この遺伝子変異が起きることで、皮膚のバリアが破れ、アレルゲンに感作してしまうといいます。

この遺伝子とは、皮膚の角質層の形成に不可欠な「フィラグリン」というタンパク質を作ることに関わっています。「魚鱗癬(ぎょりんせん)」という皮膚が鱗のように剥がれ落ちる病気の患者は、フィラグリン形成がこの遺伝子変異によりできません。アトピー性皮膚炎の患者においても、このフィラグリン形成が阻害される遺伝子変異が、2~3割の割合で見つかるといいます。このフィラグリン遺伝子変異のタイプが何種類もあって、ヨーローッパ人と日本人とでは違いがあります。同じアトピー性皮膚炎の症状であっても、様々な環境要因によって違いがあり複雑です。

ただ言えることは、 続きを読む »

2016年7月11日Permalink

寄生虫がいなくなって、子どもの免疫を鍛えてくれる存在が減ってしまった・・・寄生虫とアレルギーの関係を探る

寄生虫と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?

グロテスクな姿形をしたミクロの生物、ひどい痒みを伴う嫌なヤツ、ただただ怖い、気持ち悪い・・・良いイメージを持つ人はあまりいないのではないでしょうか。
寄生虫と子育てにどんな関係があるのか見てみましょう。

寄生虫は身近な存在

数十年前まで日本でも、寄生虫感染は当たり前のような存在でした。その代表がそう「蟯虫(ぎょうちゅう)」です。 続きを読む »

2016年7月4日Permalink

アレルゲンとなる食物を避けることが逆効果に!? 食物アレルギーの思わぬ原因と「免疫寛容」の仕組み

子どもの食物アレルギーは、世界的に増加傾向にあります。ショック症状が重ければ命にかかわる問題であり、根本的な治療が望まれます。

卵や小麦、牛乳、エビ、カニ、ソバやピーナッツなど、現在では多くの食品がアレルギーの原因物質であるアレルゲンとして、食品表示義務等も課されています。それだけ食物アレルギーをもった子どもたち、親にとっては、日々の生活で気にしなければならない重要な問題です。

これまでの食物アレルギーに対する対処法は、できるだけアレルギーを引き起こすアレルゲンを避けることでした。これはイギリスやアメリカが2000年頃に、アレルギーのガイドライン発表しており、世界的に共通の認識となっています。しかし近年、その常識が覆る研究成果が出てきています。 続きを読む »

2016年6月27日Permalink

抗生物質の使い過ぎが子どもの腸内細菌を乱している。医療以外に使用される抗生物質にも注意が必要!

 

スコットランド生まれの細菌学者アレクサンダー・フレミング(Alexander Fleming)が1928年、後に多くの命を救う大発見をします。それは偶然からの発見でした。

休暇から研究室に帰ってきたフレミングは、処分しようとしていたいくつかのペトリ皿の中の違和感に気付きました。ブドウ球菌が培養されていたその皿には、休暇期間中放置されていたために、綿埃のようなカビが生えてしまっていたのです。よく見るとそのカビの周りにだけブドウ球菌が繁殖せず、リング状の空地ができています。どうやらカビがブドウ球菌を殺菌する何らかの物質を産生しているようでした。このカビの名前はペニシリウム。そう世界で最初の抗生物質「ペニシリン」発見の瞬間だったのです。ただこの当時、培養には成功したものの不安定で、量産するまでには至リませんでした。 続きを読む »

2016年6月20日Permalink

自閉症の原因は「愛情に欠ける養育」なんかじゃない!免疫の研究から解明が進んでいます。

自閉症の原因は「愛情に欠ける養育」なのか

自閉症という言葉が使われ始めたのが1943年と言われています。オーストリア系アメリカン人の精神科医レオ・カナー(Leo Kanner)は、分類できない症状を見せる子供たちを報告しています。

Leo-Kanner

Leo Kanner

その中で『幼児自閉症 infantile autism』という言葉を使っていますが、これは「自己の中に閉じこもっている」という意味で、「自己」を表すギリシャ語からきているといいます。

当初、レオ・カナーは、自閉症の原因が「母親の愛情に欠ける養育」にあると考えていました。

この翌年には、オーストリア、ウィーン出身の小児科医ハンス・アスペルガー(Hans Asperger)も同様の症例を報告しています。アスペルガーは、共感能力や交友関係の構築は不得意だけれど、特定の事柄になると没頭し、詳細に話し続ける様子から、「小さな教授たち」と呼びました。
ちなみにアスペルガー自身も子どもの頃、この症状に悩まされていたといいます。アスペルガーの研究はドイツのみで行われていたために、「アスペルガー症候群」として広く世に知られるようになったのは何十年か後のことです。

1940年代に「自閉症」という言葉が知られるようになると、「冷蔵庫マザー (refrigerator mother)」という言葉が次第に有名になるのでした。 続きを読む »

2016年6月13日Permalink
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